実時間三次元視覚

実環境で活動するロボットは,環境や物体の形状や動き情報の獲得や認識といった視覚処理が欠かせない.実際にロボットでこれらの視覚処理を利用する場合,実世界の変化に対応するための実時間性,誤認識を避けるための情報のロバスト性,ロボットへの搭載可能性の3つの要件が本質的に重要になってくる.

本研究ではこれまでに,距離情報を獲得する視差画像生成法,動き情報を獲得するフロー画像生成法,距離と三次元的な動き情報を同時に獲得する三次元フロー生成法の3つの手法を開発した.これらの手法の特徴は,ロボットへの適用時に重要になる,実時間性,ロバスト性,搭載可能性の3つの要件を有する点である.

   

視差画像生成

PCを用いて視差画像生成システムを構築した.視差画像生成に必要な対応点探索において,再帰相関演算とよばれる手法(Faugeras 93)が知られている.我々は,汎用CPUへの実装の観点から,メモリ使用量の低減による二次キャッシュへの最適化,MMX命令による実装法を示した.また,ロバスト性を達成するための一貫性評価法を,実時間で処理するために再帰相関演算のループに組み込む手法を示した.これらのシステムを四脚型ロボットに搭載し,屋外での障害物回避実験を行った.本システムにより1フレーム(1/30秒)に約13000点の視差(探索範囲32)の計算が可能である.

右)入力画像,左)視差画像(明るい領域はカメラに近いことを示す.赤い領域は対応点の取れないことを示す) 4脚型ロボットによる屋外での障害物回避実験[MPEG]

 

   

フロー画像生成

フロー画像生成における対応点探索のために,新たに二次元再帰相関演算アルゴリズムを提案し,この手法により従来手法より高速にフロー生成が可能なことを示した.本システムにより1フレーム(1/30秒)に5600点のオプティカルフロー(探索範囲8)の計算が可能である.

左上)入力画像,右)フロー画像

 

   

三次元フロー生成

実環境で行動するロボットでは,物体や自身の動き情報が重要にある.動き情報はオプティカルフローで得られるが,カメラからみて前後に移動する場合などは対処できない.そこで,われわれは環境の三次元的な動き情報を獲得するために,2枚の連続する視差画像間の対応をフロー画像から計算し得られる「三次元フロー」を提案する.三次元フローを用いることで,例えばロボットが動きながら他の移動物体の情報を獲得することが可能になる.

入力画像 
視差画像 
フロー画像   
三次元フロー画像 

 

   

視差画像からのモデリング

ロボットが上位のタスクを遂行しようとした場合,視差画像からのモデリングや,あらかじめ記憶したモデルとのマッチングが重要になる.モデリングでは,各時刻で得られた距離画像からインクリメンタルにモデリングが可能なこと,実用的な速度でモデリングが可能なこと,が必要になる.そこで,本研究ではモデル(Volumetric Representation)を構築する手法としてマーチングキューブスアルゴリズムを適用し,これをインクリメンタルに構築できるよう拡張した.また,モデリング時には視差画像の解像度に応じた処理を適用することで,1枚の視差画像につき200msecでモデルを構築することが可能になった.

入力した視差画像(一部)[VRML]

207枚の視差画像から構築したモデル[VRML]

   

参考文献

ロボット搭載用実時間視差画像生成システム:加賀美 聡,岡田 慧,稲葉 雅幸,井上 博允:第4回ロボティクスシンポジア予稿集,177-182pp,1999.(日本ロボット学会,日本機械学会ロボティクスメカトロニクス部門,計測自動制御学会共同主催,第4回ロボティクスシンポジア優秀論文賞.1999年3月30日)

Vision-based Action Control of Quadruped Legged Robot JROB-1 : Kei Okada, Satoshi KAGAMI, Masayuki INABA, Hirochika INOUE : Proc. of 9th International Conference on Advanced Robotics(ICAR'99), 451-456pp, 1999.

再帰相関法とマルチメディア命令による高速オプティカルフロー計算法:岡田 慧,加賀美 聡,稲葉 雅幸,井上 博允:情報処理学会 第115回 CVIM 研究会予稿:127-132pp:1999.

Real-Time 3D Optical Flow Generation System : Satoshi KAGAMI, Kei Okada, Masayuki INABA, Hirochika INOUE : Proc. of International Conference on Multisensor Fusion and Integration for Intelligent Systems (MFI'99), 237-242pp, 1999.

複数視点からの距離画像を用いた高速表面再構築法:佐川 立昌,岡田 慧,加賀美 聡,稲葉 雅幸,井上 博允:第17回ロボット学会学術講演会予稿集,30-31pp, 1999.

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Last update : 2000/01/17