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5.7 閾値選択

対象物の濃淡が背景と異なる場合に 濃淡画像の閾値処理によってその対象を切り出すことができる. 閾値処理においては閾値をどのように決めるかは重要となる. 濃淡値の分布から閾値を決めて2つの画素集合に分けるために 画像のヒストグラムを利用する方法として,P-tile法,モード法, 判別分析法がある.P-タイル法は,ヒストグラム中の対象が 占める面積割合がわかっている場合にその割合のパーセンテージに あたる濃度値を閾値にする方法である.モード法は,ヒストグラム に山が2つあり,その谷の部分の濃度値を閾値にする方法である. 判別分析法は,画像を2つのクラスに分けるとして,2つのクラスの平均値の 分散(クラス間分散)と各クラスの分散(クラス内分散)の比(判別比)が最大 になるように閾値を探索するという方法である.具体的に, 全体画像の画素数$a_T$,平均濃淡値と分散を$\mu_T$$\sigma_T$とし, クラス$i$の画素数$a_i$,面積比 $\omega_i=a_i/a_T$, 平均濃淡値$\mu_i$,分散$\sigma^2_i$とすると, クラス間分散$\sigma^2_W$,クラス内分散$\sigma^2_B$と判別比 $\sigma^2_B/\sigma^2_W$は,
$\displaystyle \sigma^2_W = \sum^n_{i=1}{\omega_i\sigma^2_i}$     (72)
$\displaystyle \sigma^2_B = \sum^n_{i=1}{\omega_i(\mu_i-\mu_T)^2}$     (73)
$\displaystyle \sigma^2_T = \sigma^2_W + \sigma^2_B$     (74)
$\displaystyle \sigma^2_B/\sigma^2_W = \frac{\sigma^2_B}{\sigma^2_T - \sigma^2_B}$     (75)

となる.$\sigma^2_T$は閾値とは関係なく定数になるので,判別比を最大にす るにはクラス間分散$\sigma^2_B$を最大にすればよい.そこで2つのクラスに 分ける場合には,ヒストグラムより,閾値tを変化させながら,$\omega_i$$\mu_i$を計算し,$\sigma^2_B$を最大にするtを求めればよい. クラスを3つ以上に分ける場合には,$n-1$個の閾値が順に並ぶことから 動的計画法を用いて求めることができる.

generated through LaTeX2HTML. M.Inaba 平成18年5月7日