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紐を取り扱う作業は,紐は決まった形を持たず操作中にその形状が変化してし
まうため視覚が無いと困難なものであり,視覚情報に基づいて計画動作を修正,
確認することが不可欠となる.
図19に紐をリングに通したあと結ぶという実験プロ
グラムの概略フローを示す.ここでは,紐をリングに通す作業と紐を結ぶとい
う2つの作業を含んでいる.ここでの視覚の処理は,
(1)1次元線分型視覚ウィンドウにそった特徴抽出,
(2) 3次元位置を計測する両眼立体
視,(3) 視覚によりハンドの3次元位置を直接計測することによる変換行列の
較正,(4) ハンドの位置を利用した注視点制御,(5) 目標空間に注視部が存在
するように動作を修正する物体の誘導法,という方法をとって視覚行動系の協
調動作を実現している.
図19において,番号が四角で囲まれているステップ
は,マニピュレータの操作を行うことを示し,丸で囲まれているものは視覚の
処理を行うことを示す.
ロボットは視覚により紐を探し出し,紐の端点とフィーダの先天を探し
出し,紐の端点とフィーダの先端の位置を計測する.その2点から把持点を
計算し,紐をつかむ.把持したことを視覚で確認するためにハ
ンドを少し移動し,以前の位置に紐が無いことを検査する.上手く把持されて
いれば,紐の先端部の長さを計測するための処理を行う.
次に,ロボットはリングの中心位置を計測した後,把持部の紐の長さを考慮し
てリングの上方へ紐を移動する.そしてビジュアル・フィードバック制御にし
たがって紐をリングの中へ誘導してゆく.通し終わったことを視覚により確認
したあと紐を離し,紐の先端の位置を計測する.
リングの反対側から紐を掴み直すためのグラスプ・ポイントを紐とリングの位
置から計算し,掴むだけの余裕があれば把握動作にはいる.確実に把握してい
るかどうかを調べるために紐を手前に引いて把握動作の確認をする.視覚によ
り把握を確認したあと紐を引き出してリングをはずし,フィーダに紐を掛ける.
フィーダの先端の位置を基に掛けられた紐の位置を計測し指のアプローチ・ポ
イントを決める.つかみやすいように指を閉じて紐に近づき,指を開くことに
よって手前の日もをずらし,紐の位置を再確認してから把持する.把持した紐
を引き出し,フィーダから外すことによってリングを紐で結ぶ作業が完結する.
generated through LaTeX2HTML. M.Inaba 平成18年5月7日