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図 24:
Snapshots of the rope handling experiment
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動作の例を図24に示す.当時のミニコンのオペレーティ
ングシステムには仮想記憶機能がなかったため,プログラムは64KWordに限定
されていた.多くのメモリが必要なLisp処理系にとって,行動用プログラムは
できるだけ汎用化し,メモリ消費が増えない工夫が必要である.紐の発見と追
跡などの基本手続きはどの場面で利用する場合でも同じ関数でできるような一
般化が不可欠な環境であった.作業に要した時間は当時の計算機システムで約
8分である.画像処理プロセス,動作制御プロセス,Lispプロセスのプロセス
切り替えの時間,画像処理過程の表示,Lispのごみ集め(GC)処理にかかる時間
が無視できない時間を占めていた.今日のUSBカメラが搭載したノート型コン
ピュータのようなものであっても,当時のプログラム環境より格段に性能が高
いシステムを実現できる.メモリ空間や処理スピードの制約がなくなり,
座標系だけでなく幾何モデルに基づく,画像処理,障害物回避計算,
変形予測機能なども導入することができる環境となった.
視覚処理の特徴抽出処理の処理過程をウィンドウの場所を視覚化し,
処理結果をビデオ画像に表示する形の行動プログラミングは認識処理の
有効性を評価しながら進めるプロトタイピング環境にとって重要な
手法といえる.今日ビデオカメラ信号はカメラ自体がデジタル化され
アナログモニターに表示せずにグラフィック画面にデジタルで表示する
形になってきており三次元モデル表示と実画像を重ね合わせることも
可能な環境となっており十分活用することが重要である.
generated through LaTeX2HTML. M.Inaba 平成18年5月7日