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物を扱うマニピュレータの代表的な構造は,複数の関節が連なるロボットア
ーム形のものである.基本的な言
葉として,物体をハンドリングするための機械装置は,一般に多自由度の空間
リンク機構の先端に物体をつかむための機構がとりつけられた構造になってい
る.先端部分にとりつけられた物体把持機構をハンドと予備,ハンドの位置と
姿勢を変化させるための空間リンク機構をアームと呼ぶ.ハンドとアームから
なる全体をマニピュレータと呼ぶ.空間リンク機構の機構ペアの運動軸をジョ
イント(関節)と呼ぶ.マニピュレータの各部は,人間の上肢につけられてい
る名称と対応させて,肩,上腕,肘,前腕,手首,指という言葉を用いる.
ここでは,図1のような研究用標準ロボットマニピュレータと
三次元視覚システムを統合したロボットプログラミングシステムシステムを
例としてマニピュレータのモデル化について取り上げる.
ロボットマニピュレータを抽象的に記述したモデルについて述べる.ロボット
マニピュレータは,産業用,研究用を問わず多くの開発例があるが,図
1の研究用標準ロボットマニピュレータは,図
2のような大きさと構造をもつ.このロボットは,普通の
机の上に設置して気軽に実験を行えるよう人間の手と同程度の大きさのものと
して考えられた.さまざまな物体操作のソフトウェアを高水準な言語でどの
ように記述してゆくかを研究すること,視覚や触覚などと連携させて物体操作
を行う方式の研究,物体操作行動の目標を与える人との対話機能の研究,与えられた
目標を達成させるための行動計画を統合した知能ロボットとしてのシステム構成法の
研究などを行うためのプラットフォームとして設計されていた.
マニピュレータ部を計算機で制御するための計算機システムとソフトウェアは
図3のようになっている.実時間性を必要とするソフト
ウェアサーボはマイクロコンピュータなどによるアームコントローラ上で実現
される.ホストコンピュータは,ハンドの運動学,動作軌道生成などの上位の
ソフトウェアを要素として,視覚,対話,計画システムなどとの統合システム
を実現するための計算機である.
マニピュレータの構造は,ハンド部に1自由度,アーム部に6自由度あり,
その機構的特性は表1のようになっている.
表 1:
マニピュレータ駆動系特性表
関節 |
呼び名 |
可動範囲 |
減速比 |
定格(最大)回転数 rpm |
定格(最大)トルク Kgcm |
出力 w |
1 |
肩部旋回 |
 |
91.4 |
2400(4000) |
2.8(7.9) |
70 |
2 |
上腕揺動 |
 |
233.3 |
2000(3200) |
1.12(5.58) |
22 |
3 |
前腕揺動 |
 |
160 |
2000(3200) |
1.12(5.58) |
22 |
4 |
前腕回転 |
 |
88 |
2000(3200) |
0.605(2.87) |
12 |
5 |
手首揺動 |
 |
37.5 |
3000(5000) |
0.215(0.72) |
6.4 |
6 |
手首回転 |
 |
37.5 |
3000(5000) |
0.215(0.72) |
6.4 |
7 |
指関節 |
0 〜 80mm |
6.5 |
3000(5000) |
0.215(0.72) |
6.4 |
図4は,各部の重量と重心位置を表したものである.
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